TKMA’s diary

手遅れになる前に、世の中を変えないといけない、とずっと考えている40代半ばの2児の父です。こちらのブログには、自身のフェイスブックに書いた文章を保存・閲覧することを目的にしています。

憲法改正議論に向けての、アタマの整理。

改憲・護憲・加憲・護憲的改憲・・・

 

最近、憲法改正を巡って、

さまざまな意見や方法論が唱えられるようになっていますが、

当の国民は未だに大多数が無関心層のようです。

 

いま、日本人がすべきことは、憲法に関して知識を増やして、

「自分はどうしたいのか?」という自分なりの考えを

明確に持つことだと思うので、

今日は私の悩みも含めて書き連ねてみたいと思います。

 

何かを考えるきっかけになれば、と思います。

 

 

まず、現状の分析なのですが、

国会では「憲法改正派」が改憲発議ができる2/3の議席を持っていて、

いま、事実上、」「憲法改正案」を提案できるのは、

自民党とその一派に限られています。

 

今回の憲法改正で大きなテーマになっているのが、

戦争放棄を謳った憲法9条をどうするか」ということです。

 

いま、自民党からは二つのアイデアが提示されています。

 

ひとつは「自衛隊国防軍にする」という案です。

そしてもうひとつは、安倍総理が突如提案しうたもので、

現状の1~2項からなる9条を維持したまま、

3項を追加し、そこに自衛隊の存在を明記する、というものです。

 

ふたつに共通するのは、「日本に戦力があることを認める」ということです。

 

 

自衛隊」と「国防軍」はなにがちがうの?と思うでしょうか?

思っていただきたいです。

 

日本に「自衛隊」という「軍らしきもの」があることは世界中が認識しています。

海外からは「軍」に見える実力組織ですが、

日本人は、これを「軍ではない」と言っています。

 

そこに意味があると感じるか、無駄なことだと感じるか?

 

私は「大きな意味な意味がある」と感じています。

日本の自衛戦力のことを「軍」と呼ぶか、「自衛隊」と呼ぶかは、

完全に日本人の意識の問題であって、外国人は関係ありません。

 

そして、自衛隊を「軍」と呼んだ瞬間に、

さまざまな「自制」のタガが、法的にも、意識的にも外れていくことになります。

 

中には「国を守るための国防軍なのだから、自衛隊と同じでは?」

と思う人もいるかもしれませんね。

 

しかし、世界中にあるすべての国の軍隊が、「国防」を大義名分に存在していて、

決して「侵略軍」などないことに注目してください。

国防軍」というのは、単なる詭弁であって、それはもう「日本軍」なのです。

 

この国は、自衛隊が「軍」ではないということを理由に、

自衛隊に非常に不自由な行動を法的に強いています。

しかし、そのことこそが、日本が実力組織を持っていながらも

諸外国に不安を与えていない原因でもありますし、

武器を持っていても行動を自制することができる根拠になっています。

 

安倍晋三さんが、かつて自衛隊のことを「我が軍」と

呼んでしまったことがありましたが、

これは、平和国家日本としては、実は非常に大きな大きな出来事なのです。

 

 

では「すでに実在している自衛隊憲法に明記する」という

安倍晋三さんの案はどうでしょうか?

 

憲法9条に「解釈」の問題がついてまわるのは、

憲法そのものの中に戦力を持つ定義がなされていないことが原因なので、

そこに自衛隊を明記することによって、「自衛隊が何をできるのか」を

明確に決めることができるようになる可能性があります。

 

安倍晋三さんの狙いはそこです。

 

最近では「護憲的改憲」という考えを主張する人々もいて、

(私もその中の一人かもしれません)

自衛隊憲法に明記することによって、

自衛隊が何をできないのか」ということを明確化させる、

という効果も期待でき、その場合は現状の平和主義を

さらに強固なものにするための改憲、という意味になります。

 

 

こう考えると、「護憲的改憲でもいい」と思えますよね。

それでも護憲派は「憲法への自衛隊明記は絶対ダメ!」と言います。

なぜだと思いますか?

 

実は、こんな事情があります。

 

今の日本では国民を本人の意思に関係なく軍に入隊させる

「徴兵制」は絶対にやることができません。

それは、日本国憲法で、国民が意に反する苦役をさせられることは

絶対にないと決められているからです。

 

憲法の中には自衛隊の「じ」の字もないですから、

本人の意思に関係なく無理やり自衛官にさせられることなどないのです。

 

しかし、同じ憲法の中に「自衛隊」が明記されるとどうなるか?

憲法自衛隊の存在を明確に認めたことになります。

 

そうすると、国民が自衛隊に入隊することは

「苦役」ではなく「公共の福祉」という位置付けに変わるのです。

自衛官になることが苦役でない以上、

法的に入隊をルール化すること、つまり徴兵制を導入することも

まったく問題なくなってしまうのです。

 

こういう「人権無視」が引き起こされる可能性があるため、

自衛隊憲法明記」にも反対する人がいるのです。

 

あなたはどう思いますか?

徴兵制は、あなた的にOKでしょうか?

 

 

もうひとつ、護憲的改憲であっても、

憲法をいじってしまうと危険になる可能性があることがあります。

 

それは、「日米地位協定」の問題です。

 

これは、残念ながら「陰謀論」でもなんでもなく、

現実の問題として、日本は戦後70年以上が経った今でも、

事実上、アメリカに占領されているのです。

 

沖縄や横田基地など、国内のいたるところに米軍の基地がある

というような具体的・限定的な意味だけでなく、

日本はアメリカ軍と官僚との間で戦後70年ずっとつづいている

協定としての支配体制があって、

日本はアメリカという国家というより、アメリカ軍に対して

主権を持っていない状態なのです。

 

米軍の人間が沖縄で航空機を墜落させても、

女性をレイプしたり、人殺しをしたとしてもほぼまったく罪に問われないのは、

日本という国が米軍の治外法権を認めているからであって、

これは、ちゃんと結ばれた約束事なのです。

 

それを日本人が知らずにいいて、

自分の国を、ちゃんとした主権国家だと思い込んでいるだけなのです。

 

そして、その協定(日米地位協定)は、

日本国憲法よりも重要だという位置付けになっているんですね。

その結果が、「米軍の日本駐留は違憲である」という東京地裁の判断を

最高裁が「そのような問題についての違憲かどうかの判断はしない」として覆した

砂川判決というものなわけです。

 

日本という国には日本国憲法が存在はしているものの、

それよりも上位の概念として「米軍との約束事」がある、ということ。

そこに手を出すものがいれば、たとえ総理大臣でも、

あっという間に消されます。

 

沖縄基地問題に手をつけようとした鳩山さんがそうであったように。

 

しかし、その約束事は、一般的な日本国民には知られていないことなので、

米軍の言われるがままに日本政府が振る舞うことは

憲法違反である」という国民からの反対意見が出てしまう。

 

そこをかわすためにも、安倍晋三さんと彼の政府、そして自民党には

憲法を改正して、日本という国そのものを米軍の傘下にいれてしまうことが、

とても重要なことなのです。

 

ちょっとわかりにくくてすみません・・・・

 

つまり安倍晋三さんという人が目指す日本は、

軍事的に完全にアメリカの属国になることで自分の居場所を見出し、

明治憲法を復活させて日本国内を支配する、という、

「アメリカが許してくれる範囲の中での帝国」を作りたい

ということなのでしょうかね・・・。

 

これのいったいどこが「戦後レジームからの脱却」なのでしょうね。

むしろ戦後レジームの完成、という方が正しいです。

 

で、このような日米間の不当な関係があったにも関わらず、

70年もの間、なんとか戦争をせず、

アメリカの言いなりにならずに持ちこたえられたのは、

この国に「アメリカから押し付けられた憲法9条」があったからなのです。

 

日本は、戦争協力を迫ってくるアメリカを

9条を盾にして、のらりくらりとかわしていく、という戦法をとって、

この国の平和を維持してきたという現実がある。

 

9条は幣原喜重郎さんが考えた、という意見もあります。

それはそれでいいでしょう。別に否定はしません。

とにかく、日本に9条があったことが、

最後の砦になっていた、というのが現実なのです。

 

その9条を手放す、あるいは有名無実化するということは、

もうこれ以上、アメリカの戦争政策に抵抗することはできない、

ということを意味しているのですね。

 

 

私は、この国がアメリカやアメリカ軍からの支配を受け続けることから

脱却したいと考えています。

しかし、そのために核武装をしたり、

大きな軍を持つということではないと思っています。

 

世界の平和に資する行動を積極的にリードすることで、

地球全体からの尊敬を集めること。

それが最大の抑止力になると考えています。

 

日米地位協定をみなおし、安保条約もみなおし、

米軍のいない日本を実現する。

その上で、世界に積極的平和主義を押し広めていく。

 

日本にはそういう国であってほしいと思っています。